津本 光弘
「魚の顔を見れば、そいつの気持ちがわかる」魚を愛する気持ちから生まれたのが、津本式。
毎日毎日魚を運んでいたら、魚が大好きになって、魚の顔を見たら種類とか状態とかもなんとなく分かるようになって。そんなときに魚を殺しているところをところを見て、すごく可哀想に思ったんですよね。痛がっているのが分かった、と言ったら大げさなんですけど、そんな感じがしたんです。正直、この仕事をやめようかなぐらい悩みました。でも、魚のことを理解してあげれば、せめて、もっと楽に殺してあげることができるかもしれない、どうせならその道のスペシャリストになってみようと。だから、そもそも津本式は、魚のために生まれた技術なんです。魚が苦しまないように、一瞬で殺してしまうそこから津本式は始まります。
つぎに僕が考えたのは、なるべく魚が悪くならないように、腐ってしまわないようにしてあげたいということでした。どうやったら腐敗の原因となる血をうまく抜くことができるのかの試行錯誤が始まったというわけです。うまく血が抜けた魚を周りの人に食べてもらったら、すごく美味しいし時間が経っても腐らないと喜ばれました。しかも1週間たったら、悪くなるどころか美味しくなっていると、これはすごい発見かもしれないよ!と驚かれたんです。それで、日待ちだけではなく、美味しいさにも注目してみたら、この方法で血抜きをすれば、タンパク質が熟成されていき、さばいた後にも旨味が進んでいくことが分かってきたというわけです。
こうして完成されたのが津本式の仕立て方です。僕が魚を愛しい気持ちはいまでも変わりません。津本式を正しく行って仕立てられた旨みが増した魚は、きっと初めて食べる美味しさだと思うので、一人でも多くの方に味わってみて欲しいです。また魚を残して捨てることなく、時間かけて、様々な調理法で、食べていただきたいと思っています。一匹でも多くの魚が美味しく食べてもらえたら自分も幸せです
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伸東養魚有限会社
徳増 邦彦
自然豊かな静岡県の浜名湖畔で養殖を始めて50余年、ヒラメの養殖を始めて約33年。
常に魚と向き合い育ててきました。
2018年、自社の地の利を生かした浜名湖地下浸透海水での養殖、メロードという生餌を与える方法によって上質な身質のヒラメに育っていることをアピールし『伸東ヒラメ』として卸売を開始。
2019年津本光弘氏に出会い魚のうまみを引き出す手法に感銘し技法を取得。
養殖業界では世界初の公認仕立て師となる。
2020年『津本式究極の血抜き』腐敗の原因を取り除くことによって消費期限を延ばすことができるため、お客様がお買い求めやすい5枚おろしのフィレにして真空パックにしたものを販売開始。
その品質の良さや消費者様に向けた商品開発が注目されメディアにも多く取り上げられている。
2022年このような取り組みを評価され中小企業庁の中小企業白書の事例として国会に提出、白書に掲載された。 -
津本式仕立て師
赤坂 竜太郎
赤坂水産は、豊後水道の北東、愛媛の三瓶湾にて真鯛とヒラメを育成している。
約 3 5 年間、鮮度にこだわり自社の活魚運搬車で消費市場を巡り、生きた魚を販売している。 しかし、同社取締役である赤坂竜太郎が、漁業者や販売者の負担の大きい活魚流通に限界を感じ、〆た魚の鮮度 保持力を探求する中で、「津本式究極の血抜き」に出会い、その門戸を叩いた。 白ごま入りの独自飼料により、身に抗酸化力の高い栄養素“セサミン“を蓄えた真鯛を育て上げ、その群れの中で 厳選した真鯛を、2019 年より「白寿(はくじゅ)真鯛」として販売している。
2021 年に販売を開始した、飼料の原料に魚を使わず育てた真鯛、「白寿真鯛0」は、SDGsに繋がる取組として、 多くのメディアに取り上げられた。 今日では、熟成魚を扱う多種多様な飲食店や、津本光弘氏の勤める長谷川水産等の鮮魚販売店に、津本式で仕立 てた白寿真鯛や白寿真鯛0を年間 1 万尾以上出荷している。米国のレストランからも引き合いがあり、津本式で 処理した白寿真鯛0をメインに空輸している。